太田地区では毎月、「山の暮らし通信」という地域のかわら版をお届けしているのですが、訪ねるのが楽しみなお宅があります。
なぜかと言うと、壁のあちこちに短歌の書かれた紙が貼ってあるからです。
「特別勉強したわけじゃあないから・・・・」とご本人はいたって謙虚ですが、どの歌にもユーモアと愛情をたっぷりと感じます。
「新作はどれですか?」と尋ねたら、「外に貼ってあるわよ」と言うことで、まず一句。
山のふもと辺りでも桜便りが聞かれるようになってきましたが、残雪の多い太田でもちらほらとカタクリの花が話題に上がり、下を向いて咲くカタクリも春の訪れを喜んでいるようだという山の春の訪れを花にたとえた女性らしい歌です。
これは少し古いですが、中越地震後の避難先で仲間と再会し、お互いの無事を涙を流して喜んだ様子を歌ったそうです。
この後の避難生活の中での悲喜こもごもな日常の出来事もとても沢山、ユーモラスに残しておられます。
全部ご紹介できないのが残念です・・・
これは福島の原発事故発生後、汚染に苦しむ人たちへ太田のきれいな自然環境を分けてあげたい・・・そんな優しさが溢れる句です。
故郷を離れざるを得ない人達の為に何か手助けできないものだろうか・・・そんなもどかしさを感じた方は多かったのではないかと思います。
一方、こちらは愛情たっぷりにご主人を歌った二句。
(こうなってくれたらいいのに・・・)と思うところがあっても、相手にだって意地がある・・・そんな光景をわらびに例えるところが面白いですよね?
また、隣にはそのご主人のかわいらしい一面が詠まれていて、私も思わずクスッと笑ってしまいました。
そして、これは戒めの一句。
とかく占いを信じて時に振り回されたりもしますが、「運の良し悪しは自分の心(とらえ方)次第ですよ」というところでしょうか。
いつも明るく前向きなお人柄がどの歌からも感じられて、つい長居して見入ってしまいます。
人生をこんな風に楽しんで過ごせたら素敵だと思いませんか。
記:風間